思いやりの心を持つ

看護師にとって幅広い知識や熟練したスキルは重要だが、周囲に思いやりを持つ意識も求められる。なぜなら、思いやりはビジネスマナーの起点ともいえる要素であり、それがきっかけで、患者に安心して診察や治療を受けてもらえたり、同僚との連携がスムーズにおこなえたりすることも多いからである。具体的にどんな点を意識すべきかを見ていく。基本的ながらも重要なものとして、日常の「挨拶」が挙げられる。時間にすればほんの数秒のコミュニケーションではあるが、挨拶とは「あなたに気づいている」「あなたをちゃんと見ている」という意思表示になる点が重要だ。相手の目を見て、にこやかに、しっかりとした声で挨拶をすれば、患者からすれば自分をいつも気にかけてくれているという安心感につながり、看護師同士のチームワークの点から見ても、全くの見ず知らずの者よりも日頃から挨拶をかわす者のほうが連携も取りやすい。言葉遣いの点でも思いやりは不可欠な要素である。敬語をきちんと使うというのはイメージしやすいポイントだが、あまり意識されないことが多い「命令表現」「否定表現」の使いどころに言及したい。とりわけ患者に対して、「〇〇しなくてはならない」「〇〇してはいけない」という表現を多用しすぎると、相手に窮屈な感覚を植え付けたり。自分が否定されてばかりだと誤解されかねない。そうなると患者が看護師に気軽な質問や相談もしにくくなり、思わぬ問題が生じるリスクもありうる。状況に応じて「〇〇すると効果がある」「〇〇してみるのはどうか?」というような表現に言い換えるだけでもかなり柔らかな伝わり方となる。
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