謙虚な姿勢と身だしなみ

看護師は、患者のために献身的に働く義務を負うとはいえ、激務に追われる医療現場では、効率を優先し、患者への対応もつい雑になりがちである。認知症に罹患した高齢者の患者が多い現場では、幼児に対するような言葉遣いになりがちだ。しかし、看護師も人間を相手にする職業である以上、生死に関わる緊急事態のようなレアなケースを除き、どんなに忙しくても接客に求められる最低限のマナーを身につけておかなければならない。看護師には、診療をしてやるという不遜な態度ではなく、診療をさせていただくという謙虚な姿勢が欠かせないのだ。言葉遣いだけでなく、身だしなみにも気を配らなければならない。白衣の胸のポケットに筆記用具や簡易な検査用具を入れる看護師もよく見かけられるが、あまり多くの物品を胸のポケットに詰め込んで歩く姿は、美しいとは言えないだろう。白衣の形が崩れない程度に収めておくことが望ましい。髪型や髪の色も重要だ。ナースキャップが廃止され、看護師の髪は、患者の目に止まることになった。過度な染髪や顔にかかる髪は、避けることが好ましい。化粧や香料も問題となる。匂いに敏感な患者もいるからだ。患者が不快にならないよう、最低限の薄化粧で臨むことが求められる。こうしたビジネスマナーは、看護師の研修で学ぶこともできるが、職場で看護師同士がお互いに服装をチェックしたり、カンファレンスで患者への対応について反省の機会を持ったりすることも大切だ。看護師のビジネスマナーは、医療技術と同様に、看護には重要だということを忘れてはならない。